はじめに STAP細胞事件以降、国際的な研究者としての信頼を大きく損なった小保方について、しばしば「海外、特に米国でなら再起の可能性があるのでは」といった言説が散見される。しかしながら、現在の米国のビザ政策、安全保障意識、研究倫理基準を踏まえると、現実的には
May 2025
論考:米国における中国人留学生のビザ取り消しとその波紋――学術交流と国家安全保障のはざまで
2024年春、米カリフォルニア州の名門大学に在籍していた多数の中国人留学生が、突如として「ビザ無効」の通知を受け、72時間以内の退去を求められるという異例の事態が発生した。バークレー校やスタンフォード大学といった世界的研究機関でも数十名単位の学生が影響を受け
論考:科学における「人類共通の財産性」と「独占的知的財産性」の矛盾と米国科学政策の再検討
序論 科学は本来、人類の共通の遺産であり、その成果は国境を越えて共有されるべきものである。にもかかわらず、近代以降、特に20世紀後半からは、国家の競争力を左右する「戦略的資源」として、知的財産の独占的活用が重視されるようになった。この「人類共通の財産性」と
論考:アメリカ科学覇権の構造――「倫理」と「実利」のせめぎ合い
現代の国際社会において、アメリカは「科学技術の覇権国」として広く認識されています。ノーベル賞受賞者の数、研究資金、世界中からの留学生・研究者の流入など、その指標はいずれも圧倒的であり、多くの人々がアメリカの科学は純粋に創造性と学問的自由の上に築かれたも
論考:科学のグローバリズムと国家主義:知的搾取と科学的帝国主義の構造
科学は、国境を越えた普遍的な知的営みであり、人類共通の財産として築かれてきたという理念が語られてきました。たしかに、国籍・人種・宗教を問わず、優れた知見が正当に評価され、共有される世界を目指すという理想は、近代科学の精神を支えてきたと言えます。しかし、