STAP 論文は2014年1月末に発表され、
幹細胞研究者からすぐさま論文図表の不審点が数多く指摘されました(PubPeer)
そして、この研究者からの指摘は以下の問い合わせが存在していました。

  1. Nature 誌への問い合わせ
  2. ② 所属機関である理化学研究所(以下、理研と略す)へ問い合わせ
  3. ③ 論文著者に対して直接問い合わせ
    1. ③-1 論文の筆頭著者である小保方へ問い合わせ
    2. ③-2 論文構成の中心であった笹井先生へ問い合わせ
    3. ③-3 2013年3月まで研究室長の若山先生へ問い合わせ
    4. ③-4 当時の若山研に所属していた研究員への問い合わせ
    5. ③-5 丹羽先生への問い合わせ
  1. *小保方本人への問い合わせは、小保方は対応を笹井先生を介して行なっており、小保方自らとしては、同年4月9日の記者会見等によるもの以外はほとんど対応していなかったようです。
  2. *若山研の研究員や丹羽先生への問い合わせは少なかったようです。

 この問い合わせの中で集中したのは、① Nature、② 理研、③-2 笹井先生、③-3 若山先生の4者です。

 そして、国内外の研究者からの問い合わせを受けて、

  1. ❶ Nature は2月中旬から独自に調査を開始
  2. ❷ 理研・笹井先生は理研として対応・調査
  3. ❸ 若山先生は理研と笹井先生とは理研とは協調的ではあるが、距離を置いた形で対応、自らの試料等から検証
という流れになりました。

 この際の問い合わせは主に大別すると以下の二系統
  1. TCR 遺伝子再構成などの図表に見られた不審点
  2. 本当に酸暴露後の細胞が使われたのかという疑惑
でした。

 当初、❷ 理研・笹井先生は図表を差し替えることで対応できると考えていましたが、論文記載の方法プロトコルに従って実験を行なうと様々な不整合であったり、数量の矛盾が出てきたことにより、2. 本当に酸暴露後の細胞が使われたのかという疑惑が大きくなっていきました。P. Knoepfler 氏も自身の研究室でその矛盾を指摘されたように、酸暴露後の細胞が本当に使われたとすれば、後の実験が物理的に成立しない矛盾がある、と指摘し、そのことは研究者の間でも問題になり、日本分子生物学会所属の研究者が連名で、理研の詳細調査を求め、同学会長が声明を出すほどの事態にもなっていました。  そのように問題が拡大していく中で、若山先生は株分けし STAP 幹細胞等を山梨大学で保管していたSTAP 関連試料に対し、論文で使用したとするマウスの細胞と所持している試料(細胞)の整合性を簡易検査で確認した結果、「どうやら記載されているマウスと所持している試料とのマウスの系統が異なるようだ」と発表したわけですね(同年2月末)。そして、理研は STAP 関連試料の遺伝子データを公開しており、そのデータから何か分かるのではないかと遠藤先生が解析をしたところ、STAP 関連試料には元の論文と異なるものが使われている、酸暴露後の細胞だけでなく、他の様々な細胞を用いて実験データを捏造しているのではないか、という疑いを持ち、理研のコンプライアンス室に詳細調査をするように意見具申していたが、理研はそれに対し、「データではなく、論文化してから持ってこい」と言われ、当初の理研は「図表等の問題だけで事を収めようとした」わけです。ここで ❷ 理研・笹井先生と ❸ 若山先生と多くの生命科学研究者との間で、2. 本当に酸暴露後の細胞が使われたのかという疑惑の問題の深刻さに大きな差があり、結果として対立が生まれたわけです。

 その対立が決定的になったのが2月末〜3月上旬、若山先生が著者間での話し合いの中で激怒し、普段温厚な若山先生は怒号を飛ばし(ニュースで報じられています)、最終的に同年3月10日に著者に論文撤回を呼びかけることになり、遠藤先生もそういった理研の状況に呆れ果て、「オオカミ少年〜」とか言って、ブログを作成することになったわけです(同年3月上旬頃。現在そのブログは魚拓等でしか見ることができません)。

 学とみ子は「著者どうしで議論をしてから〜」と言っていますが、著者間での議論というか、話し合い自体はあったわけですが、それでは収まる事態ではなかったわけです。理研は4月1日に図表にいくつか研究不正が認められ、それで騒動を終結させていこうとしましたが、それで収まる状況ではなく、小保方の同年4月9日の記者会見を行ない、若山先生は小保方が記者会見後に若山先生に対する責任転嫁をする様子を知り、「小保方は何でもかんでも僕(若山先生)のせいにしている。僕は自分のしたことを正直に誠実に話をしていくだけだ」とコメントをしたわけです。さらに若山先生は「自分が悪者に仕立てられていく」と感じていたと後にコメントしています。

 同年2月末、3月上旬の完全対立そして以降の小保方の若山先生への責任転嫁の行動を見る限り、とても著者間で冷静に議論できる状況になかったわけです。学とみ子は一体何を見ていたんでしょうかね。

 若山先生が誠実な人であることは多くの研究者が認めるところで、生命科学研究者の間では「若山先生が小保方と支援者によって悪人に仕立てられてしまう」という空気感を同様に感じており、これが小保方擁護派と若山擁護派といった二つの派閥ができてしまいました。当然、小保方に都合が悪いことを言ったり、若山先生を擁護する形になったりしたら、その発言の元になった研究者等に嫌がらせを小保方支援者がするようになったわけです。

私は若山教授は直接には存じ上げませんが、テレビで拝見する限り非常に真摯な方だとお見受けいたします。若山教授の潔白を証明しつつ、かつ笹井氏の「おかしな理屈」を論破することはできないかと思い、文献を検索しておりました。
(仙台通信の研究者コメントより)
と若山先生をよく知らない生命科学研究者までも若山先生は「非常に真摯な方」と評するぐらいです。若山先生をよく知る関西学院大学の関先生も「(小保方本人や小保方支援者が言うような)おかしなことをするような先生ではなく、非常に真面目な先生ですよ」とコメントされています。

 若山先生は STAP 関連試料を自らの研究室での分析ではなく、他の機関で詳細に解析してもらい(正しい判断が若山先生にできるかどうか不安で、知人の研究者に解析を依頼したと6月の解析結果の公表時に発表していました)、5月には既に酸暴露後の細胞ではなく、他の細胞であることは判明していました。ここで既に 他の細胞が ES 細胞ではないかという疑いは生命科学研究者の認識が強まっていきました。

 若山先生は理研に報告するだけでなく、Nature や国内外の研究者に対しても研究者としての説明責任として分かった事実を正直に報告していたわけです。「実験手続き矛盾」「数量の矛盾」から「小保方が意図的に ES 細胞を混入させたのではないか」という疑いが濃厚になっており、そういう流れを察知した下村博文大臣を中心として文科省が「混入者を特定するようなことをしないように」と指示を出したことが分かっています。この事実を知った国内の生命科学者は「このままでは日本の細胞生物学の研究の信頼が失われる(動物学特論さん?だったと思いますがそのようなコメントを出しています)」そして、文科省のライフサイエンス課と理研が中心になって、2. 本当に酸暴露後の細胞が使われたのかという疑惑に対してはっきりさせようとしている若山先生に文科省が政治的圧力をかけ続けていたことを問題視していました。文科省・理研 vs 若山先生・国内外の研究者という対立構図が生まれていたわけです。

 この構図は国内だけではなく、Nature 側もはっきり認識しており、若山先生・国内外の研究者側に立ち、同年5月に Nature に発表したSTAP 論文は形式上、著者側から論文撤回するように勧告しました」そして Nature はさらに「2, 本当に酸暴露後の細胞が使われたのかという疑惑を揉み消そうとしている文科省・理研、そして小保方・バカンティ氏が論文の撤回に対して、ゴネて撤回しないというのであれば、論文撤回の勧告ではなく、編集者権限により論文を強制的に排除し、かつ、そのような文科省・理研も同様に政治的に関与し論文を撤回しないのであれば、理研から今後発表しようとしている論文は、科学的に信用できない研究所からのものとして以後、Nature は受理しない」と宣告されて、小保方とバカンティ氏は論文撤回に応じざるを得なくなったわけです(同年5月末)。

 この頃、同時に小保方は「ES 細胞が検出されたのは、STAP 幹細胞であり、STAP 幹細胞は若山先生の担当じゃないか。私が悪いんじゃない」といった反論にならないニュースが出ました。これに対し、私は小保方側に「若山先生が STAP 幹細胞に関わったのは、ACTH 培地による初期培養のみで、その元になった STAP 細胞塊に ES 細胞が含まれており、それによって、キメラマウスが作成でき、その余りで作成された STAP 幹細胞にも同様に ES 細胞が含まれていたのであり、小保方が作成した細胞塊に ES 細胞が含まれていたのは若山先生の実験中ではなく、小保方の実験作業中の話である」と明言し、責任転嫁に対して抗議しました。そして、小保方・三木弁護士から「何故、そんな細かい実験状況を知っているんだ。お前は若山研の研究員だな」という目で見られ、Facebook の私のアカウントは若山研の研究員が偽名を使っているとまで言われました。小保方側は若山研の研究員にもそれを言ったそうで、若山研の研究員から私に「若山研の研究員と思われているよ」と聞かされました。それ以降、小保方と三木弁護士に目を付けられたわけです。私は「研究者ではなく、一般の外部の科学技術者であって、若山研の研究員ではありません」と返答するような事態になっていたわけです。このようなことがあり、小保方は理研の上層部に内部情報が外部に漏れている、ということでクレームを出し、理研では戒厳令のようなものが理研内部に出され、若山先生に対し、口止めをするように圧力を強めたわけです(若山先生が取材に応じることを減らした要因です)。私は科学技術者として実験の流れを若山先生らに問い合わせて、若山先生は正直に答えてもらっていただけなんですけどね。つまり、理研や調査委員会の発表以外からも、STAP 関連の実験で誰が何をしたのか(小保方以外)は外部にも筒抜けだったわけですが、小保方側にとっては非常に都合が悪かったようです。でも、時既に遅しで、聞く必要のあるものは全て聞いています。

 そのため、学とみ子が調査委員会の報告書に誰がどのような実験を行なったのか、記載されていないと言ってもまともに相手する必要もなく、無視できるわけです。私が若山先生等から聞いていますし、若山先生や研究員も自分がやった内容に対して正直に話を外部だけでなく、調査委員会にも回答しており、その内容には何の齟齬もなく、第二次調査委員会報告書(以後、桂調査委員会報告書と略す)p30「最終的に論文の図表を作成したのは小保方氏なので、この責任は大部分、小保方氏に帰せられるものである。また、STAP 幹細胞、FI 幹細胞、キメラマウス、テラトーマなどについて、作製後の解析を行ったのも大部分が小保方氏だが、その実験記録もほとんど存在しない」という記載も証言的裏付けをもってそれが整合のとれた事実だと確信をもって言えるわけです。

 桂調査委員会で「この実験は誰がやったのですか」と聞かれたら小保方が答えなくても、若山先生や研究員が調査委員に正直に答えるわけで、その結果をもって、さらに調査委員は調べますからね。個別に聴取する意味がここにあります。警察でも取り調べにおいて、二者のトラブルに対して、個別に聴取するのと同じことです。学とみ子はこの個別に聴取することに対して文句を言っていますが、常識がなさすぎます。

 これらの事実は、生命科学者の間で共有されており、岸委員長を中心とした研究不正再発防止のための改革委員会の委員たちも知っていた事情ということです。2014年6月の段階で既にテラトーマが ES 細胞によるものだという確定的推論としての結論はほぼ出ており、検証実験でテラトーマ実験をあえて外したのは文科省や理研「小保方個人による故意のES細胞の混入」と判断させないためだという指摘がされていたんですね。「検証実験」の結果を以て不正の有無および不正を犯した人物が明確にできないと以下の改革委員会の提言書に書いてあるのはそのような背景があったからです。

②テラトーマ形成能を評価法としていないため、「検証実験」の結果を以て不正の有無および不正を犯した人物が明確にできない。すなわち、小保方氏が STAP 細胞の作製に成功したのかが明らかにできない等の問題があり、「STAP 現象は有り、小保方チームはこれを完成していた」のか否か、を明らかにする再現実験としては不備があると指摘されている。しかし、理研は科学コミュニティからのこうした疑問に向き合うことなく、「検証実験」を進めている。
『研究不正再発防止のための提言書(平成26年6月12日 )』より

そして、改革委員会では、この提言書が出される直前に遠藤先生や若山先生の両名に様々な内容を確認したわけです。

STAP 論文の不正調査に関して、外部有識者のみで構成される調査委員会の設置を提言(6月12日)し、「科学研究上の不正行為の防止等に関する規程」(平成24年規程第61号)に基づく本調査の必要性を検討するため、6月30日より予備調査、9月3日、本調査の実施が必要と判断し、委員長 桂勲をはじめ委員7名全員が外部有識者からなる「研究論文に関する調査委員会」を設置し、調査委員会は9月22日の第1回委員会に始まって、12月23日までの間に計15回の委員会を開催して調査を行なったという流れになっています。

 学とみ子は、調査委員会の委員には「ES細胞に関する専門家」「胎盤研究に関する専門家」が含まれていないと言って問題視しようとしていますが、以下のように規程されています。

第14条 研究所は、本調査の実施のため、研究所外の当該研究分野の研究者等外部有識者を含む調査委員会を設置する。
2 委員は、通報者及び被通報者と利害関係を有しない者のうちから、研究所が指名又は委嘱する
(規程より)

 「研究所外の当該研究分野の研究者等外部有識者を含む」とあるため、一見すると学とみ子の主張は正しいかのように見えます。しかし、この文言は当該研究分野の内容に精通した研究者(専門家)に判断を委ねて判断することも含まれるというのが現実的解釈です。つまり、委員が当該研究分野に精通していなくても、他の研究者(専門家)に判断を請うことが可能と考えるものです。つまり、「ES 細胞由来である」ということに関しては、ES細胞等の分析だけでなく、混入にはどのような可能性があるかを他の研究者(専門家)に聞く、「胎盤に関するもの」に関しては、他の胎盤に関する研究者(専門家)に意見を求めることが聞くことができる、ということです。聞いて理解できるだけの外部有識者であれば良いということです。

 また、この人選を問題視するのであれば、第2項にある通り、理研の長に責任がある、ということになります。

 これは、私の業務でもあることです。

 科学分析業務を請けるにあたり「研究者(専門家)を有すること」「有資格者がいること」などと業務仕様の規程にありますが、これは所内関係者等業務に関わる人に当該研究分野の研究者等の意見を聞くことができる状況があれば良いということです。「技術士」「建築士」など有資格者が中心に職務に当たらなくても良いということです。私が業務で生命科学関連に関わる場合、私が生命科学の研究者(専門家)でなくても一緒に業務を遂行する同僚に生命科学の研究者(専門家)がいれば可能ということです。だから、科学技術者+研究者とのコンビで業務が行なえるわけです。職場でキメラマウスを作成することができなくても、外部にその専門の部分を委託することで可能になるわけです。これには有資格者の「名義貸し」などの問題が発生する可能性があるわけですが、今回のように桂調査委員会の委員に直接含まれていなくても、調査委員は、ES 細胞・胎盤の研究者(専門家)に意見を求めていますからね。残存試料の分析も理研に依頼しているでしょ。同じことです。社会常識があればすぐに分かることですが、学とみ子には分からないようです。医師でも同じだと思うんですけどね。学とみ子は全ての医療業務を行なえるわけではないでしょう。自分ができないものは専門の検査技師に依頼しないんですかね。

 今回、STAP事件の判定に対し、ES 細胞の研究者(専門家)や胎盤の研究者(専門家)も注目していましたから、そういった研究者(専門家)から批判が出ているんですかね。学とみ子のようなど素人ではダメですよ。

 これは、酸暴露後の細胞と ES 細胞の混合塊(オルガノイド状)によるキメラ形成・GLT 維持に関しても同じです。私たちは、ES 細胞の研究者(専門家)の意見や見解を重視して、判断しています。その上で結果を報告しています。学とみ子のようなど素人ではダメなんですよ。

New!! 桂不正調査委員会の実態

 桂不正調査委員会に問題はなかったのかと言えばそうではない。

 この理研の自己点検委員会報告や第一次調査委員会報告(2014年4月)だが、大きな問題がありました。竹市センター長は「私が整理して危ない箇所は削除した」と発言があったことです。これに対し委員から「取られ方によっては隠蔽になる」「センター長が自ら報告書の内容に口を出すべきではない」という問題が出ていました。

岸委員長をはじめとする改革委員会ではこの問題点のない調査を行なうように同年6月に桂調査委員会を発足させようとしていました。

では、上記は改善された調査となったのか。

 2014年12月『捏造の科学者 STAP細胞事件(文藝春秋)単行本から加筆・修正され、2018年10月10日刊行の文芸文庫『捏造の科学者』。
いわゆるハードカバー版ではなく、文庫本には以下のような加筆記載がある。

 まずはその加筆・修正の部分をご覧いただきたい。

調査委員は何を見たのか?

 不正の全貌解明は、なぜ出来なかったのか。釈然としない思いを抱えたまま、一月下旬から二月にかけ、私は調査委員会の複数のメンバーに取材した。
「科学者として STAP 現象のどこまでが正しいのかを知りたかった」。ある委員は引き受けた動機をそう語った。この委員によると、理研側は当初、「あくまで論文の調査です」と、約三〇項目の疑義についてのみ調べるよう求め、STAP 現象の有無といった「研究内容の検証」は対象外だと説明した。しかし、調査委はその要望には応じなかった。別の委員によれば、最初の調査委のメンバーも同席した初期の議論の途中、桂委員長が「前回の調査委員会が図の作成に関する不正のみを取り上げ、研究内容に関する科学的調査をしなかったことを、大部分の生命科学研究者は不満に思っている」と声高に述べる場面もあったという。
 一方、調査の終了時期に関しては理研の意向が強く働いた。理研の規程では、調査委の設置後一五〇日間で終えることになっており、二月下旬まで調査を続けることも可能だったはずだが、調査半ばの一〇月頃には「年内に」、一二月の始めには二六日という記者会見日まで設定され、調査委はそのデッドラインから逆算して調査を進めることになった。理研からは、共著者がいるハーバード大学の調査が一月にまとまるとみられることが理由として挙げられたという。
(2018年10月10日刊行の文芸文庫『捏造の科学者』より)
*2014年12月『捏造の科学者 STAP細胞事件(文藝春秋)単行本に加筆・修正』
*一月下旬から二月にかけは2015年

 桂調査委員会の初期には、何を調査すべきかを含め、理研と委員長 桂勲をはじめ委員7名の外部有識者とで調査項目や範囲の設定が話し合われたとあります。これは当然の打ち合わせですが、論文の調査項目が理研の指定した項目「約三〇項目の疑義について」と限定されており、その範囲も「論文の調査」つまり論文に記載されていない証拠は採用しないような調査にしようと理研は画策していたという事実は重大な問題です。

 理研と桂調査委員会とで"調査"について初期から対立があったということです。そして、調査資料として、理研の都合の悪いものは調査委員会に渡らず調査が行なわれたということです。

 桂委員会報告書p14-15には、ES細胞の混入に関する記載があるが、

(2)ES細胞の混入を行った者を特定できるか (略) 客観的状況に照らし混入の機会があったと見られる全ての関係者を洗い出し聞き取り調査を行ったが、小保方氏を含め、いずれの関係者も故意又は過失による混入を全面的に否定しており、残存試料・実験記録・関係者間のメール送信記録・その他の客観的資料の分析検討によっても混入行為者の特定につながる証拠は得られず、ES細胞混入の目撃者も存在せず、混入の行為者を同定するに足りる証拠がないことから、委員会は、誰が混入したかは特定できないと判断した。 (3)故意か過失か  行為における故意又は過失の認定は、当該行為がなされた客観的状況と当該行為者にかかる主観的要素を総合的に判断しなされるべきものであるが、ES細胞混入の行為者が特定できない状況なので、混入行為が故意によるものか過失によるものかにつき決定的な判断をすることは困難であり、調査により得られた証拠に基づき認定する限り、不正と断定するに足りる証拠はないと考えられる。 (桂委員会報告書p14-15より)

と記載されています。

 マウス使用数などの実験記録から、小保方が故意にES細胞を混入させたと判断できるはずであるのに? 小保方研残存試料のリストに STAP 幹細胞を「小保方自ら作ったと証言記録があるのにその矛盾が無かったかのように扱われているのは何故か? これらの疑問が全て解けたわけです。

「下村博文大臣を中心として文科省が「混入者を特定するようなことをしないように」と指示を出した」と前述したが、文科省・理研は政治的な理由で、調査項目とその範囲を意図的にコントロールしていたことを示唆するものです。

 そのため、情報公開法に基づく公開された資料を見れば、小保方が故意にES細胞を混入させたと判断できるはずなのに何故、調査委員会では証拠が得られなかったのか、齟齬が発生している理由がはっきりしたということです。

 最終的には桂委員長が最終稿を作成し、それを理研の意向を組む形で修正され承認を得た形でなされています。

 この場合、桂調査委員会で判断材料された資料に問題があるため、法的には資料を再検討すると「小保方が故意にES細胞を混入させたと判断できる」ことになります。つまり、桂調査委員会のES細胞の混入の経緯は不明であった、という根拠が崩れたということです。

 また、調査終了時期が早められたのは、ハーバード大学の発表が理由というのは建前で、ES 細胞の混入が小保方に確定しそうだったこと、さらなる不正認定が増えることが予想されたため調査を打ち切りにしようとした、その発表前に小保方を理研は自主退職させ、その後行方をくらますようにして、報道関係者に追及されないようにすようにしたこと。

 何かと問題が多いですねぇ。

【STAP事件の結果に対する対応】

この対応は大きく分けて二つあります。
  1. ① 公式に調査された結果に基づくもの:桂調査委員会の報告に基づく処分等ですね。
  2. ② ① 以外に合理的に導かれる結果:① に基づく結果以外に、他の認識・判断が入ります。

「ES細胞の混入は、細胞数量の矛盾により、明らかに小保方による故意によるものと合理的に判断できる」「調査委員会の報告で、小保方は不審なデータに対してデータの提出を拒否し、その結果、研究不正と認定できなかったが科学界の慣例からはそれらは全て研究不正と認定されても文句は言えない」と言った対応が②になりますね。この対応は小保方に処分など権利制限を与えるわけではないため、認識する側・判断する側の自由だということです。

 ① が誤りであったとしても制度的に処分等を現在は与えられません。しかし、前述した内容のとおり、その桂調査委員会の ES 混入に関する判断に問題があったことは明らかとなり、事実としては、「細胞数量の矛盾により、明らかに小保方による故意によるもの」が証拠的に採用されるため、② を主張する者に対して、理研や小保方が ① を理由に名誉毀損・信用毀損などで訴えようとした場合、「細胞数量の矛盾」をはじめとする実際の資料との矛盾を解消しなければならないことになるわけですが、公的記録により成り立っている細胞数量の矛盾のため、裁判所は「細胞数量の矛盾等により(新たな事実により)、ES細胞の混入は明らかに小保方による故意によるものと合理的に判断できる」という内容は公的資料を証拠とした妥当な見解であると裁判所は認定することになります。桂調査委員会は理研から適切に判断材料を与えられていなかった不可抗力のため、お咎めなし、批判対象にはあたりませんね。

 この場合、理研は証拠隠蔽・不作為により小保方による故意による混入の証拠を政治的に揉み消したとなり、明確な批判対象となります。

「STAP 現象が ES 細胞由来であった」という事実が判明した時点で、なぜ、ES 細胞が混入したのかということを追求することは事件解決的には意味があっても、科学的に意味がないわけですが、それで事件を終了させているにも関わらず、学とみ子はこの先も議論を引っ張ろうとしても構わないんですが、損得という視点からいうと、議論することで「細胞数量の矛盾により、明らかに小保方による故意によるもの」が明確になり、理研や小保方、支援者の状況が最悪化すると私(oTake)は思うわけです。明らかに小保方や支援者に不利ですよ。

 事情を知る研究者・技術者は「細胞数量の矛盾により、明らかに小保方による故意によるもの」と合理的、蓋然的に考えているわけですが、これは変わるどころかむしろ確信的に認知されていくことでしょう。

 Nature や海外の研究機関、研究者は既に2014年の STAP 事件はこれをもとに STAP 事件を小保方による Scientific Fraud と断じ、研究倫理教育を実際に行なっています(ハーバード、ケンブリッジ、MIT などではスライドで小保方の写真付きで倫理教育が行なわれている実際の講義風景の報告を海外留学している学生から受けてもいます)。そのため、新しく研究者になった者は小保方を研究不正者としか見ないでしょうね。

【オマケ:小保方の重大な証言?】

 学とみ子が重大な証言と言っている、小保方が
  1. ① ES 細胞の混入について「私は、ESねつ造はしていない」とはっきり言った
  2. ② メチル化実験について、「他にデータがあるはずだ」

などという証言は、大事な証言でもなんでもありません。意味がありません。

 この二つの証言は口先だけで言えることであり、客観的事実に関連して確認できるものではないからです。

 むしろ、これらの証言は小保方が偽証と判断されます。データがあると言っても捏造・改ざんデータしか存在しないはずです。